シロアリ調査データ

シロアリは、日本の住宅にとって大きな脅威となる存在です。その被害は、見えないところでじわじわと進行し、気づいた時には手遅れになっていることも少なくありません。

このような背景から、シロアリ被害の実態を正確に把握し、適切な対策を講じることが極めて重要です。本記事では、専門家による市場調査データを基に、シロアリ被害の現状とその傾向について詳しく解説します。

シロアリ市場調査のデータ範囲

「市場調査のデータ」は、全国的なシロアリ被害の状況を数値データを通じて詳細に分析します。これにより、シロアリ被害がどのような地域や建物タイプで多く発生しているのか、またその被害の程度はどのようなものなのかが明らかになります。

シロアリ被害は予防が鍵となります。この記事が、シロアリ被害に対する意識を高め、適切な対策を講じる一助となれば幸いです。

シロアリ市場調査の数的根拠とデータリソース

「当該メディアにおける数的根拠とデータリソース」は、この調査データがどのように収集され、分析されたのか、その信頼性やデータソースについて詳しく説明します。

これにより、読者はデータの背景や意味をより深く理解し、自宅や不動産のシロアリ対策に役立てることができるでしょう。

所在地別調査対象建物数

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
都道府県A区分B区分C区分
岩手542724105
宮城50592111
秋田65376108
福島27131050
茨城109019
栃木2616042
群馬126751202
埼玉895417160
千葉1011652169
東京1315077258
神奈川2206524309
新潟33511
富山473540122
石川50251893
福井21221962
長野723932143
岐阜685823149
静岡796229170
愛知18230194577
三重36312794
滋賀2305
京都2822959
大阪428304132864
兵庫1115719187
奈良1973763
和歌山211224
鳥取692838135
島根633031124
広島18221555
山口2035
徳島0011
香川50252499
愛媛512326100
福岡825559196
佐賀3137
長崎20292574
熊本31501495
大分711910100
宮崎613127119
鹿児島28151356
合計2,6151,7199885,322

シロアリ種類別:被害割合

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
カテゴリヤマトシロアリイエシロアリカンザイシロアリ
全体約92.0%約7.7%約0.3%
A区分約96.0%約3.5%約0.5%
B区分約98.6%約0.6%約0.8%
C区分約86.7%約13.1%0%

このテーブルは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、カンザイシロアリの被害割合を全体および各データ区分ごとに示しています。ヤマトシロアリの被害が全体の約92.0%を占め、日本全国で広く木造建物に被害を与えていることがわかります。一方、イエシロアリの被害は約7.7%で、主に神奈川以西の海岸地帯に分布しています。カンザイシロアリの被害割合は全体でわずかに0.3%ですが、被害が顕在化しにくい可能性があります。データ区分別では、B区分でヤマトシロアリの割合が最も高く、C区分ではイエシロアリの割合が比較的高いことが示されています。

家屋の場所別:シロアリ発生割合

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
データ区分床下蟻害の発生割合
全体約18.9%
A区分約6.2%
B区分約0.5%
C区分約84.3%

このテーブルは、床下蟻害の発生割合がデータ区分によってどのように異なるかを示しています。特にC区分では、床下蟻害の発生割合が非常に高く、約84.3%に達しています。一方、B区分では最も低く、約0.5%です。これは、防除処理の保証期間との関係が強く影響していることを示唆しています。B区分で被害が発生している原因としては、防除処理当時の被害の見落とし、防除処理の想定を超える劣化因子(何らかのシロアリ)のアタック、防除処理行為の何らかの瑕疵などが考えられます。

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
データ区分外周蟻害の発生割合
全体約2.3%
A区分約2.2%
B区分約0.6%
C区分約5.9%

このテーブルは、各データ区分における外周蟻害の発生割合を示しています。全体では約2.3%、A区分では約2.2%、B区分では約0.6%、C区分では約5.9%となっています。ここでの「外周蟻害」とは、基礎外周に蟻道があったものを指します。特にC区分では外周蟻害の発生割合が高く、シロアリ被害のリスクが顕著になっています。

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
データ区分玄関まわり被害の発生割合
全体約4.0%
A区分約2.1%
B区分約0.4%
C区分約15.2%

このテーブルは、各データ区分における玄関まわりのシロアリによる食害の発生割合を示しています。全体では約4.0%、A区分では約2.1%、B区分では約0.4%、C区分では約15.2%となっています。玄関まわりは、床から框までの部分をタイル仕上げやモルタル仕上げとする場合に木下地を地面に接触させて取り付けることや、框材をマツを心材とした集成材で作ることが多いため、特に蟻害を受けやすい部位であることが指摘されています。特にC区分では玄関まわり被害の発生割合が高く、シロアリ被害のリスクが顕著になっています。

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
データ区分小屋裏被害の発生割合
全体約17.7%
A区分約12.9%
B区分約1.9%
C区分約34.7%

このテーブルは、各データ区分における小屋裏のシロアリによる食害の発生割合を示しています。全体では約17.7%、A区分では約12.9%、B区分では約1.9%、C区分では約34.7%となっています。小屋裏被害はイエシロアリが生息していると考えられる地域で重要な検査部位であり、観察されている被害も基本的にイエシロアリによるものと考えられます。保証期限内、保証期限切れ後のいずれの建物でも、被害発生率はヤマトシロアリ被害を中心とした床下などの被害発生率に比べて高くなっていることが示されています。イエシロアリについては、再発リスクなどを高く評価することが必要とされています。

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
データ区分その他被害の発生割合
全体約3.4%
A区分約2.3%
B区分約0.7%
C区分約10.9%

このテーブルは、各データ区分におけるシロアリによる食害の発生割合を示しています。ここでの「その他」の部位としては、柱、台所、トイレ、洗面所、浴室、勝手口、収納庫、和室などが含まれます。全体では約3.4%、A区分では約2.3%、B区分では約0.7%、C区分では約10.9%となっています。床下に位置する部材に比べて、これらの部位での被害発生率はかなり低くなっていることが示されています。

建物工法別:シロアリ発生率

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
区分在来工法木造プレハブ2×4工法
全体24%18%8%
A区分10%19%6%
B区分2%0%5%
C区分91.1%57.1%66.7%

このテーブルは、各区分(全体、A区分、B区分、C区分)における在来工法、木造プレハブ、2×4工法のシロアリ被害発生率を示しています。特にC区分では、在来工法での被害発生率が非常に高く、木造プレハブと2×4工法でも比較的高い被害発生率が見られます。

築年数別:シロアリ発生率

カテゴリ説明
A区分防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件
B区分防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証、既存予防保証、駆除保証など)
C区分過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査)
木造木造木造木造木造プレハブ木造プレハブ木造プレハブ木造プレハブ2×42×42×42×4
築年数全体A区分B区分C区分全体A区分B区分C区分全体A区分B区分C区分
0-41.9%0.0%1.0%100.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
5-94.0%4.9%0.8%41.2%0.0%0.0%0.0%0.0%5.0%5.5%2.4%100.0%
10-1411.0%6.0%3.3%80.0%10.0%16.7%0.0%6.1%3.2%6.3%57.1%
15-1929.3%12.9%2.3%94.9%16.7%12.5%0.0%100.0%14.9%5.4%18.8%72.7%
20-2438.4%14.1%6.6%91.4%25.0%25.0%19.2%11.8%0.0%100.0%
25-2937.4%18.5%0.9%90.6%33.3%25.0%0.0%100.0%18.2%20.0%0.0%100.0%
30-3435.5%11.4%5.4%94.7%50.0%0.0%100.0%50.0%40.0%100.0%
35-3946.7%18.5%7.1%94.0%66.7%100.0%0.0%100.0%50.0%0.0%100.0%
40-4450.2%21.2%2.6%97.8%50.0%100.0%0.0%
45-4947.7%32.4%4.8%90.9%0.0%0.0%
50-5442.6%26.3%0.0%94.7%
55-5933.3%12.5%0.0%100.0%
60-6433.3%14.3%0.0%80.0%
65-6950.0%0.0%0.0%100.0%
70-7475.0%0.0%100.0%
75-7966.7%33.3%100.0%
80-8454.5%50.0%0.0%100.0%
85-8962.5%0.0%100.0%
90-9433.3%33.3%
95-9955.6%100.0%0.0%100.0%
100-10466.7%50.0%0.0%100.0%
110-11460.0%50.0%0.0%100.0%
平均42.5%23.2%1.9%92.9%22.4%22.4%0.0%80.0%23.7%23.2%3.9%70.0%

このテーブルは、築年数別にシロアリ被害発生率を示しています。築年数が進むにつれて、特にC区分での被害発生率が高くなっていることがわかります。また、新しい建物では被害発生率が低い傾向にあります。

保証切れからの経過年数別:シロアリ発生率

経過年数木造在来工法木造プレハブ2×4工法
03.3%0.0%
16.5%0.0%7.1%
25.5%5.6%
39.2%0.0%0.0%
49.1%15.4%
55.9%33.3%0.0%
66.5%0.0%10.0%
75.9%12.5%
813.4%0.0%0.0%
919.4%7.1%
1011.7%0.0%0.0%
1112.7%100.0%4.2%
1217.2%0.0%0.0%
1319.5%0.0%0.0%
1413.9%100.0%33.3%
1514.9%0.0%0.0%
1633.3%0.0%0.0%
1713.0%100.0%
1814.8%0.0%
1915.8%100.0%
2045.0%100.0%
2140.0%0.0%0.0%
2225.0%
2318.2%100.0%
2453.3%0.0%
2513.6%
2642.9%0.0%0.0%
2723.1%0.0%
2850.0%
2937.5%
3016.7%
310%
3233.3%
33100%
3450.0%
3550.0%
360%
380%
39100%
41100%
420%
430%
44100%
45100%
460%
470%
480%
49100%
95100%
105100%
10822.2%33.3%0.0%

このテーブルは、保証切れからの経過年数に応じた木造在来工法、木造プレハブ、2×4工法のシロアリ被害発生率を示しています。経過年数が増加するにつれて、特に木造在来工法での被害発生率が高くなる傾向が見られます。また、木造プレハブと2×4工法では、特定の年数で被害発生率が高くなる傾向があります。

データ参照:日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合